スレート屋根が割れていると塗装できない?補修・カバー工法を含めた判断方法

スレート屋根にひび割れや欠けを見つけると、「もう塗装できないのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、割れが1枚あるだけで塗装できないとは限りません。部分的な割れなら補修や差し替えを行ったうえで塗装できる場合があります。一方、広範囲に割れがある、屋根材自体が脆くなっている、下地まで傷んでいる場合には、カバー工法や葺き替えを検討したほうが適切なこともあります。この記事では、スレート屋根の「割れ方」から、補修・塗装・カバー工法・葺き替えをどう判断するのかを住宅外装の施工側の視点から解説します。

スレート屋根が割れていても塗装できる場合はある

最初に結論を整理すると、スレート屋根に割れがある=塗装できない、ではありません。

判断したいのは「割れているかどうか」だけではなく、

  • 割れている枚数
  • 割れの位置と形状
  • 屋根全体に割れが分散しているか
  • スレート自体の強度が残っているか
  • 反りや欠けなど他の症状がないか
  • 既存塗膜の状態
  • ルーフィングや野地板など下地の状態
  • 雨漏りを疑う症状がないか

といった屋根全体の状態です。

例えば、屋根全体は比較的健全で、数枚に部分的なひび割れが確認される程度なら、割れた部分を補修または差し替えたうえで塗装できるケースがあります。

実際、ケイミューが公開しているカラーベストのメンテナンス資料でも、屋根材の部分的な割れ・クラックについて、屋根材の差し替えや接着などによる補修方法が案内されています。

一方で、屋根面のあちらこちらに割れが発生している場合は事情が変わります。

一つひとつの割れを直せるかだけではなく、「なぜこれほど割れているのか」「残っている屋根材にも同様の劣化が進んでいないか」まで考える必要があるからです。

【ケイミュー「屋根材 COLOR BEST(クァッド)のメンテナンス」】
ケイミュー公式メンテナンス資料

塗装前に確認したい「割れ方」の違い

同じ「スレートが割れている」という状態でも、施工側から見るとすべてを同じようには扱いません。

割れ方によって、補修して塗装するのか、それとも屋根全体の改修を考えるのかが変わります。

1.一部だけに発生している小さなひび割れ

局所的なひび割れで、周囲のスレートに大きな劣化が確認されない場合には、部分補修を行ってから塗装できる可能性があります。

ここで大切なのは、塗料そのもので割れを直そうとしないことです。

屋根塗装は屋根材表面へ塗膜を形成する工事であり、割れた屋根材を構造的に元通りにする工事ではありません。

必要な補修を先に行い、そのうえで塗装工程へ進みます。

2.端部が欠けている

スレートの先端や端部が部分的に欠けている場合もあります。

この場合も欠けの大きさ、位置、残っている屋根材の状態などを確認します。

一部分の欠けだけを見て屋根全体のカバー工法が必要とは判断できませんが、欠けが複数箇所で発生しているなら、屋根材全体の状態まで確認したほうがよいでしょう。

3.屋根全体に多数の割れが発生している

判断が変わりやすいのがこの状態です。

一枚、二枚ではなく、多数のスレートに割れや欠けが確認される場合、すべてを部分補修して塗装することが本当に合理的なのかを考える必要があります。

補修した部分だけが問題なのではなく、現在割れていないスレートも同じ条件で経年しているためです。

このような場合は「補修できるか」だけではなく、補修後に屋根全体をどの程度維持できる状態なのかという視点が必要になります。

4.割れに加えて反り・層間剥離・著しい劣化がある

割れだけでなく、反りや表面の著しい劣化など複数の症状が重なっている場合には、塗装よりもカバー工法や葺き替えを検討するケースがあります。

塗装はあくまで既存屋根材を残して行う工事です。

したがって、これから残す屋根材そのものが塗装の下地として適しているかが前提になります。

屋根にコケや藻が生えていると塗装が必要?劣化状態を判断するポイント

スレートの割れを補修して塗装できるのはどんな状態?

スレート屋根の割れが部分的で、屋根全体として塗装に適した状態なら、補修と塗装を組み合わせることができます。

一般的な流れとしては、

屋根全体の点検
↓
洗浄
↓
割れ・欠けなどの確認
↓
必要箇所の補修
↓
下地処理
↓
塗装

という順序で進めます。

ニチハの屋根リフォームに関する公式情報でも、塗り替えは「表面や下地があまり傷んでおらず、塗装が可能な屋根」を条件としており、施工工程では高圧洗浄後、ひび割れなど傷んでいる部分を補修してから塗装する流れが示されています。

【ニチハ「屋根リフォーム工法比較」】
ニチハ「屋根リフォーム工法比較」

ここから分かるのは、「割れがあるか」ではなく「補修後も既存屋根を残して維持できる状態か」が塗装判断のポイントになるということです。

補修跡だけを見て判断しない

既に補修された跡がある住宅では、その補修箇所だけを見るのでは不十分です。

例えば、複数箇所に補修跡がある場合には、

「以前から割れが繰り返し発生しているのか」
「過去に割れた部分だけをその都度直しているのか」
「現在も新しい割れが増えているのか」

という視点も必要になります。

過去の補修歴は、現在の屋根全体の状態を判断する材料の一つです。

割れたスレートをコーキングで塞げば大丈夫とは限らない

スレート屋根の割れを見ると、「とりあえずコーキングで埋めれば雨が入らない」と考えたくなるかもしれません。

しかし、屋根では単純に隙間を塞げばよいわけではありません。

屋根には雨水を適切に排出するための重なりや隙間があり、雨仕舞を考えた納まりになっています。

補修材を使用する場合でも、どこを固定・接着するのか、どこは水を逃がす必要があるのかを区別することが必要です。

特に屋根材同士の隙間まで無差別に塞いでしまうと、雨水の排出を妨げる可能性があります。

スレート屋根の隙間を塗料で塞ぐとどうなる?雨水を逃がす構造との関係

また、コーキングなどで割れを補修できたとしても、それによってルーフィングや野地板まで修復されるわけではありません。

「割れを塞いだこと」と「屋根全体の防水構造を確認したこと」は分けて考える必要があります。

割れが多い場合にカバー工法を検討する理由

スレート屋根の割れが広範囲にあり、既存屋根材を補修しながら塗装して残すことが適切ではないと判断した場合、選択肢の一つになるのが屋根カバー工法です。

カバー工法とは、既存のスレート屋根を基本的に残し、その上へ新しいルーフィングと金属屋根などを施工する方法です。

実際の検索表示クエリでも、

「屋根カバー工法 寿命」
「屋根 カバー工法 耐用年数」
「屋根カバー工法 見積書」
「屋根 ガルバリウム鋼板」
「ガルバリウム鋼板 屋根」

など、屋根カバー工法や金属屋根に関係する検索が確認されています。

カバー工法なら割れたスレートを全部交換するわけではない

カバー工法では、既存スレートの上から新しい屋根を形成します。

そのため、既存屋根材をすべて撤去して新しくする葺き替えとは施工方法が異なります。

ただし、ここで注意したいのが、

「スレートが割れているなら何でもカバー工法にできる」わけではない

ということです。

カバー工法では新しい屋根材を既存屋根の上へ施工するため、その下にある下地の状態が施工可否に関係します。

ニチハも重ね葺きについて、既存屋根が化粧スレート系屋根材などで、下地があまり傷んでいない屋根を条件として案内しています。

つまり、屋根材表面の割れが多くても、下地が健全であればカバー工法を検討できる場合があります。一方で、下地まで大きく傷んでいれば別の判断が必要です。

カバー工法より葺き替えを考える状態もある

屋根の状態によっては、カバー工法ではなく葺き替えを検討します。

葺き替えは既存屋根材を撤去し、必要に応じて野地板などを補修・増し張りしたうえで、新しいルーフィングと屋根材を施工する方法です。

例えば、

  • 野地板の傷みが疑われる
  • 雨漏りによる下地への影響が確認されている
  • 既存屋根を残したまま施工することが適切ではない
  • 下地そのものを確認・補修する必要がある

といった場合には、葺き替えのほうが適していることがあります。

ここが、「塗装かカバー工法か」だけで屋根リフォームを考えてはいけない理由でもあります。

既存スレートを残せる状態なら塗装。

屋根材は残して表面を新しい屋根で覆うならカバー工法。

既存屋根を撤去して下地から確認・改修する必要があるなら葺き替え。

実際には、このように既存屋根の状態から工法を絞っていきます。

スレートの割れと雨漏りは分けて考える

スレート屋根が割れていると、「ここから雨漏りしているのでは?」と考える方も多いでしょう。

しかし、スレートの割れを見つけたことだけで雨漏りの原因まで確定したことにはなりません。

一般的なスレート屋根では、屋根材の下にルーフィングと呼ばれる防水層があり、その下に野地板があります。

スレート屋根とは?特徴・見分け方・耐用年数・メンテナンス方法を解説

屋根材に割れがあれば補修の検討は必要ですが、「割れている=室内まで水が入っている」とは限りません。

反対に、室内へ雨漏りしている場合には、割れたスレートを塗装しただけで修理完了とはできません。

雨漏りがあるなら、

原因調査
↓
雨水の侵入箇所・経路の特定
↓
防水層や下地を含めた状態確認
↓
必要な修繕範囲の決定

という順番で考えます。

さらに、雨漏りの侵入箇所は屋根材だけではありません。

棟板金、谷板金、壁際の取り合い、外壁、開口部なども候補になるため、「割れているスレートを見つけたからここが原因」と決めつけないことが必要です。

塗装・補修・カバー工法をどう判断する?

スレート屋根の割れを確認したときは、工事方法を先に決めるのではなく、次の順番で考えると整理しやすくなります。

部分補修+塗装を検討しやすい状態

割れが局所的で、屋根材全体の状態が比較的健全。補修可能な範囲で、下地にも大きな問題がなく、既存スレートを今後も残せると判断できる場合です。

この場合は、必要な部分補修を行ってから塗装する方法を検討できます。

カバー工法を検討しやすい状態

割れや表面劣化が広範囲にあり、既存スレートを補修して塗装し続けるより、新しい屋根を形成したほうが適切と判断される場合です。

ただし、野地板などの下地がカバー工法に適していることが前提になります。

葺き替えを検討しやすい状態

既存屋根だけではなく、下地まで傷んでいる、または下地を露出させて確認・補修する必要がある場合です。

既存屋根を撤去するため工事範囲は大きくなりますが、野地板やルーフィングを含めて屋根を再構築できます。

この3つの境界は、「割れが何枚なら塗装、何枚ならカバー」という単純な数字では決められません。

割れの数だけではなく、屋根全体を今後も残せるかという視点で判断することがポイントです。

業者へ「割れているから塗装できません」と言われたら確認したいこと

焼津市・藤枝市・静岡市など静岡県中部で屋根リフォームを検討している方が、業者から「スレートが割れているので塗装できません」と説明された場合、すぐ工法を決める必要はありません。

なぜ塗装できないのか、その根拠を確認してみてください。

例えば、

「割れているのは何枚くらいですか?」
「部分補修では対応できない理由は何ですか?」
「割れ以外に屋根材の劣化がありますか?」
「下地の状態はどのように確認しましたか?」
「カバー工法が適している理由は何ですか?」
「葺き替えまで必要な状態ですか?」
「塗装した場合、何が問題になりますか?」

と聞くと、工事方法を選んだ理由が分かりやすくなります。

反対に「割れを全部コーキングして塗れば大丈夫」と説明された場合にも、屋根材全体や下地をどのように評価しているのか確認したほうがよいでしょう。

株式会社S・B・Gでは、工法から住宅を見るのではなく、既存屋根の状態から必要な工法を考えることを基本としています。

塗装、補修、カバー工法、葺き替えのどれか一つが常に正解なのではありません。

診断によって必要な工事は変わります。

よくある質問

スレート屋根が1枚割れていたら塗装できませんか?

1枚割れているだけで塗装できないとは限りません。部分的な割れで、周囲の屋根材や下地が健全であれば、差し替えや適切な補修を行ってから塗装できる場合があります。割れた枚数だけではなく、屋根全体の状態を確認して判断します。

スレートのひび割れはコーキングで直せますか?

部分的なクラックを接着・補修できる場合はありますが、すべての割れをコーキングだけで処理できるわけではありません。割れ方や位置、屋根材の状態によっては差し替えなどを検討します。また、屋根材同士の排水に必要な隙間まで不用意に塞がないことも大切です。

割れが多ければカバー工法にしたほうがいいですか?

割れが多いことはカバー工法を検討する材料の一つですが、それだけでは決まりません。既存スレートの状態に加え、野地板などの下地が新しい屋根を固定できる状態か確認する必要があります。下地まで傷んでいれば葺き替えを検討することもあります。

スレートが割れていたら雨漏りしていますか?

必ずしも雨漏りしているとは限りません。スレートの下にはルーフィングが施工されており、屋根材と防水層は役割が異なります。ただし、雨漏りが実際に発生している場合は、スレートの割れだけでなく、ルーフィング、板金、取り合いなども含めて原因を調査する必要があります。

割れたスレートの上から塗装すれば補修になりますか?

塗装そのものを割れの補修と考えるべきではありません。塗装前に必要な補修を行い、既存屋根が塗装できる状態であることを確認してから施工します。塗料を塗ることと、屋根材の割れを直すことは別の工程です。

まとめ

スレート屋根に割れを見つけても、「割れているから塗装できない」「割れているからカバー工法」とすぐに決める必要はありません。

まず確認すべきなのは、割れそのものより、その割れが屋根全体のどのような状態を示しているのかです。

一部だけの割れで、屋根材と下地が健全なら、部分補修をして塗装できる可能性があります。

一方、広範囲に割れが発生し、屋根材自体を今後も残していくことが適切でなければ、金属屋根などによるカバー工法を検討します。

さらに野地板などの下地まで傷んでいるなら、既存屋根を撤去して下地から直せる葺き替えが必要になることもあります。

したがって、屋根を確認するときの順番は、

割れを発見する
↓
割れの範囲・形状を確認する
↓
屋根材全体の状態を見る
↓
ルーフィング・野地板など下地への影響を考える
↓
部分補修・塗装・カバー工法・葺き替えを選ぶ

となります。

株式会社S・B・Gでは、焼津市・藤枝市・静岡市を中心とした静岡県中部で屋根・外壁など住宅外装の相談を受けています。

スレートの割れを見つけたときは、「塗れるか、塗れないか」だけではなく、その屋根をこれからも残して使える状態なのかという視点から工事方法を判断することが、過不足のない屋根リフォームにつながります。

CONTACT

当社に関するお問い合わせ・ご相談・お見積もり依頼はお電話または
お問い合わせフォーム、LINEよりお気軽にご連絡ください。