
金属サイディングと窯業系サイディングは何が違う?材料と構造から比較
住宅の外壁で使われる「金属サイディング」と「窯業系サイディング」。見た目だけでは違いが分かりにくい製品もありますが、材料・構造・重量・納まり・メンテナンスの考え方には違いがあります。特に外壁リフォームでは、「どちらが優れているか」だけで選ぶのではなく、現在の外壁や下地の状態、既存住宅にどのように施工するのかまで考えることが重要です。ここでは、住宅外装を施工する側の視点から両者の違いを整理します。
金属サイディングと窯業系サイディングの大きな違いは「材料」と「構造」
最初に結論から説明すると、金属サイディングと窯業系サイディングは、どちらも住宅外壁に使われるサイディングですが、主となる材料と製品の構造が異なります。
金属サイディングは、ガルバリウム鋼板などの金属を表面材として使用した外壁材です。製品によって構成は異なりますが、表面の金属板と断熱材などを組み合わせた製品が多く使われています。
一方、窯業系サイディングは、セメント質原料や繊維質原料などを成形した外壁材です。
新築住宅の外壁を見ると、一見しただけではどちらなのか判断しにくいデザインもあります。しかし施工する側から見ると、切断方法、固定方法、重量、役物の納め方などには明確な違いがあります。
つまり「金属か窯業か」という違いは、単なる外観デザインの違いではありません。
材料が違えば、外壁としての構造や施工方法、リフォームするときの考え方も変わります。
なお、金属サイディングの施工は建築板金の仕事とも深く関係しています。建築板金は自動車の板金修理とは異なり、住宅や建物の屋根・外壁などに金属板を加工・施工する専門工事です。
金属外壁と建築板金の関係を理解したい方は、建築板金そのものの仕事内容を先に知っておくと分かりやすくなります。
建築板金とは?屋根・外壁で使われる工事内容と板金屋の仕事を専門業者が解説
金属サイディングとは?金属を表面材に使った外壁材
金属サイディングは、その名前のとおり金属を使用したサイディングです。
住宅ではガルバリウム鋼板などを使用した製品があり、新築だけでなく外壁リフォームにも使われています。
金属サイディングは「金属の板1枚」とは限らない
「金属サイディング」と聞くと、薄い金属板をそのまま外壁に張っているイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、一般に金属サイディングとして販売されている製品には、表面材となる金属と裏側の断熱材などを一体化したタイプがあります。
ここは、単純な金属板による外壁と金属サイディングを理解するときのポイントです。
住宅外壁には、角波などの金属板を施工する方法もあります。
同じ「金属外壁」でも、
金属サイディングなのか。
角波などの金属板なのか。
どのような下地へ施工するのか。
によって構成や納まりは異なります。
そのため、「ガルバリウム鋼板の外壁」と一括りにするのではなく、実際にどの製品・工法が使われるのかまで確認する必要があります。
金属サイディングは比較的軽量
金属サイディングの特徴として挙げられるのが、窯業系サイディングと比較したときの軽さです。
この違いは、新築よりも既存住宅の外壁リフォームを考えるときに特に意味を持ちます。
既存外壁を撤去せず、その上から新しい外壁材を施工する外壁カバー工法では、既存の建物へ新たな材料を追加することになるからです。
ただし、「軽いからどんな住宅にもカバー工法ができる」という意味ではありません。
既存外壁の状態や下地、建物の納まりなどを確認してから施工可否を判断します。
金属サイディングを使った外壁カバー工法については、材料比較とは別に、既存外壁の上へどのように新しい外壁を構成するのかを理解すると、リフォーム時の違いがより分かりやすくなります。
外壁カバー工法とは?既存外壁を残して新しい外壁を施工する仕組み
窯業系サイディングとは?セメント質を主原料とする外壁材
窯業系サイディングは、セメント質原料や繊維質原料などを成形してつくられる外壁材です。
住宅で広く使われており、石目調、タイル調、木目調などさまざまな意匠があります。
金属サイディングと比較するときに理解しておきたいのは、窯業系サイディングでは「基材」と「表面の仕上げ」を分けて考えることです。
表面には塗装などによる仕上げが施されています。
そのため、経年によって表面仕上げが劣化した場合には、既存材の状態によって塗装などのメンテナンスが検討されます。
しかし、ここで注意したいのが、
「窯業系サイディングだから塗装すれば直る」とは限らない
ということです。
基材そのものに著しい劣化や破損が生じている場合、表面へ塗料を塗っても外壁材自体が元の状態へ戻るわけではありません。
外壁塗装を検討するときには、塗膜だけを見るのではなく、サイディング本体や目地、下地などを含めて状態を確認する必要があります。
金属サイディングと窯業系サイディングを構造から比較
両者の違いを理解するには、カタログ上の特徴だけではなく、外壁として建物へ取り付けられた状態を考えることが重要です。
外壁は、表から見えているサイディングだけで成立しているわけではありません。
その裏側には、防水層や胴縁、下地などがあります。
外壁材そのものだけで雨水を完全に止めるわけではない
住宅所有者から見ると、最も外側にあるサイディングが「建物へ水を入れない壁」に見えると思います。
もちろん外壁材には雨水を受け流す役割があります。
しかし、住宅外装の防水を考えるときは、表面材だけを見てはいけません。
外壁の裏側には防水のための層があり、外壁材の継ぎ目や開口部、取り合いなどから入った水が建物内部へ到達しないよう、複数の部材によって構成されています。
つまり、
金属サイディングか窯業系サイディングかという比較と、外壁全体の防水性能は同じ話ではありません。
どちらの外壁材でも、施工時の雨仕舞や下地、防水層、開口部まわりなどが重要です。
継ぎ目や端部の「納まり」も異なる
外壁施工では、広い面だけを張れば完成するわけではありません。
建物には、
窓。
玄関。
出隅・入隅。
軒天との取り合い。
基礎付近。
屋根との取り合い。
配管や設備の貫通部。
などがあります。
こうした場所で外壁材をどのように終わらせ、他の部材へつなげるかを「納まり」と呼びます。
特に金属サイディングでは、各部に役物と呼ばれる部材を使用したり、現場の形状に合わせて板金を加工したりして納めることがあります。
住宅の外壁工事は、広い面積を張る部分だけを見ると単純に見えるかもしれません。
実際には、端部や取り合いをどう納めるかが施工品質に関係する部分です。
この「水をどう受け、どこへ流し、建物内部へ入れないようにするか」という考え方が雨仕舞です。
雨仕舞とは?屋根・外壁で雨水を建物内部へ入れないための考え方
外壁リフォームでは「どちらが良いか」より既存外壁の状態が重要
金属サイディングと窯業系サイディングを比較している方の中には、外壁リフォームを検討している方も多いでしょう。
ここで施工側として特に伝えておきたいのが、
材料を先に決める前に、現在の外壁を確認する
ということです。
たとえば既存住宅の外壁に劣化がある場合でも、必要な工事はすべて同じではありません。
表面の塗膜劣化が中心なのか。
外壁材そのものが傷んでいるのか。
目地や取り合いに問題があるのか。
下地側まで影響しているのか。
雨漏りが発生しているのか。
これによって、検討すべき工事は変わります。
塗装で対応できる状態
既存外壁材が健全で、主な問題が表面塗膜の経年劣化である場合には、塗装によるメンテナンスが選択肢になることがあります。
ただし、塗装は外壁材を新しいものへ交換する工事ではありません。
外壁材そのものや下地に問題がある場合には、塗装だけでは解決できないことがあります。
カバー工法を検討する状態
既存外壁を残し、その上へ新しい外壁を施工する方法が外壁カバー工法です。
金属サイディングは比較的軽量であることなどから、外壁カバー工法で使われる材料の一つです。
しかし、既存外壁を隠せばよいわけではありません。
カバー後は既存外壁が見えにくくなるため、施工前に現在の状態を確認することが重要です。
特に、既存外壁の著しい劣化や下地側の問題、雨漏りなどが疑われる場合には、その原因を確認せずに上から覆うべきではありません。
張り替えを検討する状態
既存外壁やその周辺に大きな問題があり、既存材を残すことが適切ではない場合には、撤去して新しい外壁へ張り替える方法を検討します。
張り替えでは既存外壁を撤去するため、カバー工法とは工事の考え方が異なります。
「金属サイディングが良いからカバー工法」
「窯業系サイディングだから塗装」
と材料名だけで工法を決めるのではありません。
診断によって必要な工事は変わります。
これは株式会社S・B・Gが住宅外装で大切にしている「診断が変われば、工事も変わる。」という考え方そのものです。
外壁リフォームで工法を先に決めることの問題については、屋根・外壁全体の考え方としてこちらの記事で詳しく説明しています。
屋根・外壁リフォームで最初に工法を決めてはいけない理由|「診断が変われば、工事も変わる。」
金属サイディングと窯業系サイディングはメンテナンスの考え方も違う
外壁材を比較するとき、「耐久性」だけで単純に優劣をつけるのは適切ではありません。
外壁には外壁材以外の部材も存在するからです。
どれだけ外壁材そのものが健全でも、目地、役物、開口部まわり、取り合いなど別の部分に不具合があれば、そこへの対応が必要になります。
金属サイディングで見るポイント
金属サイディングでは、表面の状態だけでなく、傷や変形、腐食の有無、継ぎ目、役物、固定状態などを確認します。
また、金属だから「錆びるか、錆びないか」だけを見るわけではありません。
外壁としてどのように固定され、どのように端部が納められているのかまで見る必要があります。
窯業系サイディングで見るポイント
窯業系サイディングでは、表面塗膜の状態、ひび割れ、欠け、反りなど外壁材自体の状態に加えて、目地部分なども確認します。
特に表面の色あせだけを見て「外壁塗装の時期」と判断するのではなく、基材そのものが健全なのかを見ることが重要です。
外壁塗装で対応できる状態と、カバー工法や張り替えなど別の工事を検討した方がよい状態を区別する必要があります。
外壁塗装で直る劣化・直らない劣化とは?塗装前に確認したい外壁の状態
金属サイディングと窯業系サイディング、結局どちらを選べばいい?
ここまで読むと、「では結局どちらが良いのか」と思うかもしれません。
しかし、住宅外装の材料選びでは、一つの材料をすべての住宅に対する正解にすることはできません。
新築で選ぶのか、リフォームで選ぶのか。
現在の外壁は何なのか。
既存外壁を撤去するのか残すのか。
建物の形状はどうなっているのか。
どのような外観にしたいのか。
今後どのようなメンテナンスを想定するのか。
こうした条件によって選択は変わります。
特に既存住宅のリフォームでは、カタログだけを見て外壁材を決める前に、現在の建物を確認することが重要です。
焼津市で外壁リフォームを検討している場合も、藤枝市や静岡市など静岡県中部で外装リフォームを検討している場合も、この考え方は変わりません。
「金属サイディングにしたい」という希望があったとしても、
既存外壁の状態はどうか。
下地はどうか。
雨漏りはないか。
カバー工法が適しているか。
撤去が必要な部分はないか。
設備や開口部をどう納めるか。
まで確認したうえで、工法と材料を組み合わせる必要があります。
外壁は広い面積を占めるため、完成後は「何を張ったか」が目立ちます。
しかし施工品質を考えるなら、材料名だけでなく、その材料をどのような下地へ、どのような納まりで施工したかを見ることが大切です。
金属サイディングを含む外壁リフォームを検討するときには、材料の比較だけでなく、施工会社がどこまで建物全体を診断して工法を決めているかも確認したいポイントです。
外壁リフォームで失敗しないために|工法選びと施工会社選びで確認したいこと
よくある質問
Q. 金属サイディングと窯業系サイディングの一番大きな違いは何ですか?
主となる材料と製品構造です。
金属サイディングはガルバリウム鋼板などの金属を表面材として使用する外壁材で、窯業系サイディングはセメント質原料や繊維質原料などを成形した外壁材です。
材料が異なるため、重量、加工方法、施工方法、メンテナンス時の確認ポイントなどにも違いがあります。
Q. 外壁カバー工法には金属サイディングが向いていますか?
金属サイディングは比較的軽量なため、外壁カバー工法で使用される材料の一つです。
ただし、既存外壁の状態や下地、雨漏りの有無などによっては、そのままカバーすることが適切ではない場合があります。
材料だけで施工可否を判断せず、既存住宅の状態を確認してから工法を決めることが重要です。
Q. 窯業系サイディングは塗装すれば長く使えますか?
既存のサイディング本体が健全で、主に表面塗膜が劣化している状態であれば、塗装によるメンテナンスを検討できます。
一方で、基材そのものに大きな劣化・破損・変形などがある場合には、塗装だけでは直せないことがあります。
「塗装できるか」ではなく、「塗装によって必要な性能を維持できる状態か」を確認することが大切です。
Q. ガルバリウム鋼板と金属サイディングは同じものですか?
完全に同じ意味ではありません。
ガルバリウム鋼板は金属材料の一つで、その鋼板を表面材として使用した金属サイディングがあります。
一方、住宅外壁には角波など金属板を加工して施工する方法もあります。
そのため「ガルバリウム鋼板の外壁」という表現だけでは、具体的にどのような製品・工法なのかまでは分かりません。
Q. 外壁リフォームは金属サイディングと外壁塗装のどちらがいいですか?
現在の外壁の状態によって変わります。
既存外壁が健全で表面塗膜のメンテナンスが主目的なら塗装を検討できる場合があります。
一方、既存外壁材そのものの状態やリフォーム目的によっては、金属サイディングによる外壁カバー工法や張り替えを検討することもあります。
最初から工法を決めるのではなく、既存外壁・下地・防水・取り合いなどを確認したうえで判断することが重要です。
まとめ|外壁材の比較は「材料」だけでなく「どう施工するか」まで見る
金属サイディングと窯業系サイディングは、どちらも住宅外壁として使われる材料ですが、主となる材料と製品構造が異なります。
金属サイディングにはガルバリウム鋼板などの金属が使われ、比較的軽量であることから外壁カバー工法にも使用されています。
一方、窯業系サイディングはセメント質原料などを成形した外壁材で、表面仕上げや基材の状態を分けてメンテナンスを考える必要があります。
ただし、住宅外装で本当に重要なのは「金属と窯業のどちらが優れているか」という単純な比較ではありません。
外壁は、サイディングだけで完成しているものではないからです。
防水層、下地、胴縁、目地、役物、開口部、取り合いなどが組み合わさって一つの外壁を構成しています。
特に外壁リフォームでは、
現在の外壁がどうなっているのか。
その下はどうなっているのか。
どの工法で新しい外壁を施工するのか。
端部や開口部をどう納めるのか。
まで考えて材料を選ぶ必要があります。
塗装で十分な住宅もあれば、外壁カバー工法が適する住宅、既存外壁を撤去して張り替えた方がよい住宅もあります。
材料から工事を決めるのではなく、建物を確認してから工法と材料を決める。
「診断が変われば、工事も変わる。」
焼津市・藤枝市・静岡市など静岡県中部で外壁リフォームを検討する際にも、金属サイディングか窯業系サイディングかという材料比較だけでなく、現在の住宅にどの工法が適しているのかまで確認することが大切です。