金属屋根とは?種類・メリット・デメリットとガルバリウム鋼板が選ばれる理由
金属屋根は、鋼板やアルミニウム、ステンレス、銅板などの金属を使用した屋根の総称です。近年の住宅ではガルバリウム鋼板系の屋根材が新築だけでなく、屋根リフォームや屋根カバー工法にも使用されています。
ただし、「金属屋根なら何を選んでも同じ」「ガルバリウム鋼板ならメンテナンス不要」というわけではありません。使用する金属、屋根材の形状、塗膜、断熱材の有無、下葺き材、下地、板金の納まり、施工方法によって屋根としての性能は変わります。
この記事では、建築板金・屋根工事を行う株式会社S・B・Gが、金属屋根の種類やメリット・デメリット、ガルバリウム鋼板が住宅の屋根に使用される理由、施工時に確認したいポイントまで専門施工店の視点から解説します。
金属屋根とは?まず知っておきたい基本構造
金属屋根とは、その名前のとおり金属を主材料とした屋根です。
住宅では「板金屋根」と呼ばれることもあります。
金属板を切断・折り曲げ・加工し、屋根の形状に合わせて施工する仕事は「建築板金」の代表的な分野の一つです。
なお、建築板金は自動車の板金修理とは異なります。住宅や建物の屋根・外壁・雨樋・庇・水切りなどに金属板を加工・施工し、雨仕舞を構成する専門工事です。
金属屋根だけで住宅の防水が成立しているわけではない
屋根について理解するときに重要なのが、屋根は一枚の材料だけで住宅を守っているわけではないという点です。
一般的な住宅の屋根は、外側から大きく考えると、
屋根材 → ルーフィング(下葺き材) → 下地
という複数の層で構成されています。
屋根材は雨や紫外線などを直接受ける最も外側の部分です。
その下に施工されるルーフィングは、屋根材の裏側へ入った雨水を建物内部へ侵入させないための重要な防水層です。
さらにその下には屋根材やルーフィングを支える下地があります。
また、棟、軒先、ケラバ、谷、壁際などには、それぞれの形状に応じた板金部材が施工されます。
つまり、金属屋根の性能を考える場合、表面に見えている金属屋根材だけを見るのでは不十分です。
屋根材・ルーフィング・下地・板金部材・各部の納まりを一つの屋根として考える必要があります。
金属屋根にはどんな種類がある?
「金属屋根」という名称は特定の商品名ではありません。
使用する金属や屋根材の形状によって複数の種類があります。
ガルバリウム鋼板系の金属屋根
現在の住宅用金属屋根を考えるうえで代表的なのが、ガルバリウム鋼板や、その考え方を発展させた金属材料を使用する屋根材です。
鋼板の表面にアルミニウム・亜鉛などを含む合金めっきを施した材料で、住宅の屋根や外壁、各種建築板金に広く利用されています。
「ガルバ屋根」と呼ばれることもありますが、実際にはガルバリウム鋼板を素材とする屋根にもさまざまな製品があります。
表面塗膜、鋼板の仕様、断熱材の有無、屋根材の形状などが異なるため、単純に「ガルバリウム鋼板かどうか」だけで製品を比較するのではなく、屋根材としての仕様まで確認することが重要です。
トタン屋根
トタンは、亜鉛めっき鋼板を使用した金属材料です。
以前から住宅や倉庫などさまざまな建物で使用されてきました。
同じ鋼板系の金属材料でも、一般的に「トタン」と「ガルバリウム鋼板」はめっき層の構成が異なります。
そのため、古い金属屋根をすべて「ガルバ」と判断するのではなく、既存材料を確認する必要があります。
ステンレス屋根
ステンレス鋼を使用した金属屋根もあります。
耐食性を生かして屋根や建築板金に使用される材料ですが、材料の特性やコストなどを考慮して採用を判断します。
一般住宅で金属屋根を検討するときに、必ずステンレスが第一候補になるわけではありません。
銅板屋根
銅板も古くから建築に使われている金属材料です。
寺社建築などをイメージする方も多いかもしれませんが、住宅の屋根や庇などにも使われてきました。
銅は時間の経過によって表面の色合いが変化していくことも特徴です。
ただし、ガルバリウム鋼板とは材料特性も価格帯も施工方法も異なるため、「金属屋根」という一つのカテゴリーの中でも別の材料として考える必要があります。
金属屋根は形状によっても分類できる
材料だけでなく、葺き方や形状にも違いがあります。
代表的なのが、
・横葺き
・立平葺き
・瓦棒葺き
などです。
横葺きは屋根材を横方向へ連続させて施工するタイプで、住宅の屋根カバー工法でも使用されています。
立平葺きは、屋根材を軒先から棟方向へ縦方向に施工する金属屋根です。
どの形状が適しているかは、屋根勾配や建物形状、製品の施工条件などによって変わります。
金属屋根のメリット
金属屋根が新築や屋根リフォームで選択肢になる背景には、いくつかの特徴があります。
比較的軽量な屋根を構成しやすい
金属屋根の大きな特徴の一つが、屋根材そのものを比較的軽量にできることです。
特に既存屋根の上から新しい屋根を施工する「屋根カバー工法」では、新しく追加する屋根材の重量を考える必要があります。
そのため、軽量な金属屋根はカバー工法との相性を検討しやすい材料です。
ただし、屋根カバー工法は屋根材が軽ければ必ず施工できるわけではありません。
既存屋根材の種類、下地の状態、屋根形状などを確認したうえで判断する必要があります。
複雑な部分に合わせて板金加工できる
金属材料の特徴を生かし、現場の形状に合わせて加工できることも建築板金の強みです。
住宅の屋根には平らな面だけではなく、
・棟
・谷
・軒先
・ケラバ
・壁際
・下屋根との取り合い
・庇
・雨押え
など、さまざまな部分があります。
こうした場所では、既製品だけですべてを処理できるとは限りません。
必要に応じて金属板を切断・折り曲げ・加工し、建物の形状に合わせて納めます。
金属屋根は単に「金属の板を屋根に張る工事」ではなく、こうした板金加工と雨仕舞の技術によって一つの屋根として成立します。
屋根カバー工法に使用できる製品がある
屋根リフォームでは、既存屋根を撤去せず、その上から新しい屋根を施工するカバー工法があります。
この工法では金属屋根が採用されることがあります。
既存屋根の解体範囲を抑えながら新しい屋根を構成できることが特徴です。
一方で、既存屋根や下地の状態によってはカバー工法ではなく葺き替えが必要になる場合があります。
「金属屋根=カバー工法」ではなく、金属屋根はカバー工法に使用できる屋根材の選択肢の一つと考えると分かりやすいでしょう。
さまざまな屋根形状・デザインに対応できる
金属屋根には横葺きや立平葺きなど複数の形状があり、住宅のデザインや屋根形状に応じた選択ができます。
ガルバリウム鋼板系の屋根材ではカラー展開のある製品も多く、外壁や雨樋など住宅外装全体との組み合わせを考えることも可能です。
金属屋根のデメリット・注意点
金属屋根にはメリットがありますが、万能な屋根材ではありません。
採用前に特徴を理解しておく必要があります。
金属だから絶対に錆びないわけではない
ガルバリウム鋼板を含む金属屋根について、「錆びない屋根」と説明されることがありますが、金属である以上、腐食の可能性を完全になくすことはできません。
表面塗膜やめっきによって鋼板を保護していますが、切断部や傷、異種金属との接触、周辺環境などによって状態は変わります。
そのため、施工時には材料そのものだけでなく、切断・加工方法や異種金属との組み合わせなどにも注意が必要です。
雨音・熱については屋根全体の構成で考える
「金属屋根は雨音がうるさい」「夏は暑い」というイメージを持っている方もいます。
確かに金属板そのものは薄いため、材料単体で考えれば雨滴の衝撃や熱の影響を受けます。
しかし実際の住宅では、屋根材だけで性能が決まるわけではありません。
屋根材の裏側に断熱材を一体化した製品もあり、さらに屋根下地、天井裏の断熱など住宅全体の構造も関係します。
そのため「金属だから暑い」「金属だから必ずうるさい」と一括りにするのではなく、採用する屋根材と屋根全体の構成を確認することが重要です。
凹みや傷が発生する可能性がある
金属屋根は薄い金属板から作られているため、強い衝撃を受ければ変形や凹みが生じることがあります。
施工中も屋根材の上をどこでも自由に歩けるわけではありません。
製品の形状や支持されている位置を理解せずに踏むと、変形させる可能性があります。
施工後も屋根へ不用意に上がらず、点検が必要な場合は屋根工事の専門業者へ依頼する方が安全です。
施工品質が納まりに影響する
金属屋根では、材料選びと同じくらい施工方法が重要です。
特に棟、谷、壁際、軒先などは雨水の流れを考えて納める必要があります。
屋根面そのものがきれいでも、取り合いや板金部分の雨仕舞が適切でなければ、屋根全体として適切な施工とはいえません。
金属屋根を検討するときには、製品名や価格だけでなく、どのような下葺き材を使い、各部をどのように納めるのかまで確認することが重要です。
ガルバリウム鋼板が金属屋根に選ばれる理由
住宅用の金属屋根を調べると、「ガルバリウム鋼板」という言葉を目にする機会が多いと思います。
なぜガルバリウム鋼板が屋根材として使われているのでしょうか。
鋼板の強度とめっきによる防食性を組み合わせている
ガルバリウム鋼板は鋼板をベースとし、その表面にアルミニウムと亜鉛などから構成される合金めっきを施した材料です。
鋼板をそのまま使用するのではなく、めっきによって腐食から保護する考え方の材料です。
さらに住宅用の屋根材では、その表面に塗装を施した製品が一般的です。
つまり実際の屋根材は、
鋼板+めっき層+表面塗膜
といった複数の要素によって構成されています。
そのため、ガルバリウム鋼板系の屋根材を比較するときには「ガルバだから全部同じ」ではなく、鋼板やめっき、塗膜など製品ごとの仕様を見ることが重要です。
軽量性を生かして屋根リフォームへ利用しやすい
ガルバリウム鋼板系の屋根材は比較的軽量であるため、屋根カバー工法の材料として採用されることがあります。
既存屋根の上に新しい屋根を追加するカバー工法では、新設する屋根材の重量は重要な要素です。
軽量な金属屋根は、この点でカバー工法に使用しやすい特徴があります。
加工性が建築板金と相性がよい
住宅には一棟ごとに異なる屋根形状があります。
同じ切妻屋根でも、下屋根、壁際、谷、庇など細かな形状は住宅ごとに異なります。
金属板は必要な寸法に切断したり折り曲げたりできるため、こうした部分の板金加工にも使用できます。
建築板金の仕事では、既製の屋根材を施工するだけでなく、住宅の形状に合わせて役物と呼ばれる部材を加工・施工することがあります。
材料の性能と、加工・施工の自由度を両立しやすいことが、ガルバリウム鋼板が住宅外装で使用される理由の一つです。
金属屋根へのリフォームは塗装・カバー工法・葺き替えのどれを選ぶ?
既存住宅の屋根を金属屋根へリフォームしたい場合、主な選択肢としてカバー工法と葺き替えがあります。
また、既存屋根がまだ使用できる状態なら、そもそも新しい金属屋根へ交換せず、必要に応じて塗装や部分修繕で対応できる場合もあります。
表面のメンテナンスで対応できる場合
既存屋根材そのものや下地などに大きな問題がなく、表面保護が主な目的であれば、既存屋根材によっては塗装が選択肢になることがあります。
ただし、塗装は屋根材の表面を保護する工事です。
劣化した下地を新品にしたり、ルーフィングを交換したりする工事ではありません。
そのため、屋根の状態を確認せずに「古くなったから塗装」と判断するのは適切ではありません。
既存屋根を残せる場合はカバー工法
既存屋根の状態や屋根材の種類などの条件が合えば、既存屋根の上から新しい金属屋根を施工するカバー工法を検討できます。
この場合でも、新しい屋根材だけでなく下葺き材や各部の板金納まりまで含めて施工内容を確認することが重要です。
下地まで改修する必要があれば葺き替えを検討
既存屋根材を撤去する必要がある場合や、下地の状態を確認・修繕する必要がある場合などは、葺き替えを検討します。
カバー工法より工事範囲は大きくなりますが、既存屋根を撤去するからこそ確認できる部分があります。
つまり、屋根リフォームでは、
「金属屋根にしたいからカバー工法」ではなく、既存屋根を診断した結果として、カバー工法なのか葺き替えなのかを決めることが重要です。
株式会社S・B・Gが大切にしている「診断が変われば、工事も変わる。」という考え方は、金属屋根のリフォームでも同じです。
金属屋根で重要なのは材料だけではなく「雨仕舞」
金属屋根を選ぶとき、どうしても「どの商品が一番いいのか」に注目しがちです。
しかし実際の施工では、屋根材の商品性能だけで住宅を雨から守っているわけではありません。
重要なのが「雨仕舞」です。
雨仕舞とは、建物に当たった雨水を適切に受け、流し、建物内部へ侵入させずに排出するための考え方や納まりを指します。
棟・谷・壁際などで施工品質が問われる
屋根の平らな面だけを見れば、金属屋根は規則的に施工されています。
一方で、実際に施工上の判断が必要になるのは、
・棟
・谷
・軒先
・ケラバ
・壁際
・下屋根
・異なる屋根面の接続部分
・配管などの貫通部
といった場所です。
こうした部分では、雨水の流れる方向を考えながら板金を加工・施工します。
雨が入らないようにすることだけでなく、万が一屋根材の裏側へ水が回った場合に、どこから排出するのかまで考える必要があります。
コーキングだけに頼る納まりには注意
住宅外装ではシーリング材(コーキング)が必要になる部分もあります。
しかし、すべての雨仕舞をコーキングだけで成立させることは適切ではありません。
金属板の重なり、立ち上がり、雨水の流れる方向などを考えたうえで、必要な部分にシーリング材を使用します。
屋根工事では「水を止める」だけではなく、水を正しく流して排出する構造をつくることが重要です。
これが金属屋根を施工する建築板金の専門性が表れやすい部分でもあります。
よくある質問
金属屋根とガルバリウム鋼板は同じものですか?
同じ意味ではありません。金属屋根は金属を使用した屋根全体の総称で、その材料の一つとしてガルバリウム鋼板があります。金属屋根には、ガルバリウム鋼板系のほか、ステンレス、銅板などを使用するものがあります。
ガルバリウム鋼板の屋根は錆びませんか?
「絶対に錆びない」とは言えません。めっきや表面塗膜によって鋼板を保護していますが、傷、切断部、異種金属との接触、使用環境などによって腐食する可能性があります。定期的に状態を確認することが重要です。
金属屋根は雨音がうるさいですか?
金属板単体では雨滴の衝撃音が伝わりやすい性質がありますが、実際の住宅では屋根材の仕様、断熱材、下地、天井裏など複数の条件が関係します。断熱材を一体化した金属屋根材などもあるため、「金属屋根は必ず雨音が大きい」と一律には判断できません。
古い屋根の上から金属屋根を施工できますか?
既存屋根材の種類、下地の状態、屋根形状などの条件が合えば、屋根カバー工法によって施工できる場合があります。ただし、既存屋根の状態によってはカバー工法ではなく葺き替えが必要です。現地での診断が重要になります。
金属屋根にすれば雨漏りは直りますか?
雨漏りの原因によって異なります。雨漏りは屋根材だけでなく、ルーフィング、下地、板金、壁との取り合いなどが原因になる場合があります。また、屋根以外の外壁や開口部から雨水が侵入するケースもあります。雨漏りがある場合は、原因を調査・特定したうえで必要な修繕方法を決めることが重要です。
まとめ|金属屋根は「材料+防水+下地+板金施工」で考える
金属屋根とは、ガルバリウム鋼板をはじめ、ステンレスや銅板などの金属材料を使用した屋根の総称です。
その中でもガルバリウム鋼板系の屋根材は、比較的軽量で、加工性があり、屋根カバー工法にも使用できる製品があることから、住宅の屋根リフォームでも選択肢となっています。
ただし、金属屋根を選ぶときに最も避けたいのは、
「ガルバリウム鋼板なら安心」
「金属屋根ならカバー工法で大丈夫」
と材料名だけで工事方法を決めてしまうことです。
屋根は、表面に見える屋根材だけで住宅を守っているわけではありません。
屋根材、その下のルーフィング、下地、棟や谷などの板金部材、そして雨水を適切に流す雨仕舞が組み合わさって、一つの屋根として機能します。
既存屋根を塗装で維持できるのか、金属屋根によるカバー工法が適しているのか、それとも葺き替えが必要なのか。
その答えは住宅によって異なります。
診断が変われば、工事も変わる。
株式会社S・B・Gでは、焼津市を拠点に藤枝市・静岡市など静岡県中部で、建築板金、金属屋根、屋根リフォーム、屋根カバー工法、雨漏り修理など住宅外装に関する相談を受けています。
金属屋根を検討するときには、商品名や価格だけで比較するのではなく、現在の屋根にその材料・工法が適しているか、そして防水・下地・板金まで含めてどのように施工するのかを確認することが重要です。
ガルバリウム鋼板の屋根とは?特徴・耐久性・メンテナンス方法を詳しく解説
